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(1)ストーリー作り(漫画制作の第一歩)

  まず、読者に何を言いたいか、何を伝えたいかを明確にする。
  これがはっきりしていないと、ストーリー全体に一本の筋が通らない。
  ストーリーに筋が入っていないと、話があっちにいったりこっちにきたりと、読んでいて
  不安になってしまう。
  これではダメ。
  背筋をピンとしていないと人間もだめなように、ストーリー作りも同じである。

  次に、平坦な展開はよくない。
  読者がすぐに飽きてしまう。
  読者が読んでくれないと、苦労して描いた漫画も意味がない。

  まぁ、自分で楽しむだけなら良いが、作品を発表してプロになりたいと考えているなら、
  ストーリー作りは非情に大事な作業だと思ってもらいたい。

ストーリーの組み立て方
  漫画家によってはキャラクターさえ動き出せばストーリーは自然と展開していく、
  と考えている人もいる。
  つまり、面白いキャラクターさえ作ってしまえば、あとはキャラクターが勝手に動いて
  くれる、ということだ。
  たしかに、キャラクターの設定は大事だ。
  しかし、キャラクターが作れればストーリーも作れるというものではない。
  やはり、最初の出だし部分では、その切っ掛けとなる発想が重要である。
  また、キャラクターが自由に動けるようになっても、構成力がないとまとまりのある作品は
  制作できない。

  では、ストーリーの作り方を説明しよう。

(1)モチーフ(動機)
  ストーリーの発想となるきっかけのことだ。
  たとえば、日常の身の回りで起きたことや見たり聞いたりしたことで、これは面白い、
  あるいはすごいと感じたことがあるだろう。
  そうしたことがモチーフとなるのである。

(2)テーマ(主題)
  モチーフに自分独自の意見や方向付けを加えたものがテーマとなる。
  ようするに自分が一番伝えたいこと、それがテーマである。
  たとえば、自然エネルギーとして太陽光を利用すべきだ、ということがテーマだ。
  しかし、このままではストーリーとはならない。
  そこで、テーマを設定するときにキャラクターとからませてみるとよい。

(3)マテリアル(素材)
  テーマを表現するために必要な材料を「マテリアル」といい、主人公と主人公を取り巻く
 環境や時代背景などのことである。

(4)ジャンル(形式)
  ギャグ漫画なのかシリアスな漫画を描きたいのか、あるいはSF漫画なのか時代劇なのか、
  はたまた学園漫画なのか、という形式の選択が必要。
  漫画のジャンルは広く、さまざまな選択肢がある。
  初めは狭いジャンルのとらわれず、様々な可能性を試してみよう。

(5)シノプシス(あらすじ)
  大まかなストーリーのあらすじを「シノプシス」という。
  主人公の前にひとつの事件を用意し、主人公がそれに対してどう反応するか、あるいは
  どう切り抜けるのか、と考えていけば自然とストーリーはできてくる。
  思いついたことをノートにメモしておこう。

(6)プロット(筋書き)
  具体的なストーリーの流れを表したものが「プロット」である。
  たとえば、冒頭部分をどうするか、どこにヤマ場をもってくるのか、起承転結の配分は
  どうするのかなど、ストーリー全体の構成を考える重要な作業である。
  このプロットの段階になって、全体のストーリーが見えてくる。
  話のテンポも、この段階で考えておこう。

(7)シナリオ(脚本)
  各場面の情景や登場人物のセリフなど、事細かに書き留めてあとは絵だけ、という状態の
  文字原稿が「シナリオ」だ。
  ちなみに、漫画の原作はこの状態のものをいう。
  ただし、普通の漫画家はキャラクターのスケッチなども入れて、見せ場や細かい表現、
  さらには構図のアイデアなどもついでに考えてしまう。
  シナリオは自分が漫画を描くための文字原稿だから、自分がわかりやすいように
  様々な情報を書き加えておくと、いざ絵コンテを描く段階になって便利である。
  慣れてくれば、シノプシスから直接絵コンテを制作してもよい。

(8)絵コンテ(ネーム)
  単に「ラフ」ともいう。
  コマ割りやネームの配置、人物や背景の構図など、大まかなアタリを取ったものをいう。
  つまり、これから描く漫画の設計図のようなものだ。
  あとは、この絵コンテに従って原稿を制作すれば良いのである。
  よく、「ネームができる」というが、この段階までの作業が完成したという。

  ストーリーを作る基本を紹介しよう。
  起承転結
  ストーリーには起承転結がある。
 
「起」は物事の始まりで何かが起きて話が展開すること。
 「承」は「起」を受けて話が続くこと。
  つまり、「起」で何かが起きてさあ次はどうなる、ということ。

  この「承」は話を引っ張っていく役目だから、ここで読者に先を読まれるか飽きられると、
  もう読者はこの先を読んではくれない。
  案外、この「承」を安易に考えがちだが、それは間違っている。
  非情に大事な役目を担っている。
  たとえば、この後に、「転」「結」と続くわけだが、この「転」と「結」は描いていても
  楽しい場面だから、誰もが力を入れて描くところである。
  ところが、その「転」「結」に行く前に読者が読むのを止めたら、せっかく力を入れて
  描いた部分が無駄になってしまうのだ。

  つまり、「承」は安易に描いてはいけないということである。

  「承」の次が「転」である。

  「転」は、ドラマが盛り上がって何かが起こり、話が意外な方向へ向かったりすることだ。
  はらはらドキドキがクライマックスを迎え、読者に緊張感を与える。
  読者のページめくりが早くなる。
  だから、この「転」で、面倒くさい言葉を並べてゴチャゴチャするのは良くない。
  スピーディに絵で見せることを考えるべきである。

  そして、「結」である。

  「結」は結論の結であり結果の結だ。
  話が終わることである。
  あなたが何を言いたかったか、読者に何を伝えたかったかが明確になる場面だ。

  そして、読者に共感と感動を与える。

漫画の基本・起承転結
起承転結を壊す
  では、ストーリーはすべて起承転結で成り立っているのかというと、そうではない。
  むしろ、起承転結が壊れていた方が、物語としては面白かったりする。
  なぜ起承転結を壊すのか?

  まず、起承転結のストーリー作りは安心感があるということだ。
  これは決して悪いことではない。
  ただし、読者が安心して読めるということは、無難だということである。

  無難ということは、不安が少ないということでもある。
  ところが、不安が多いほど、また不安定なほど読者は先が読めなくなる。
  だから面白くなるのだ。
  ただし、面白くするためにストーリーがめちゃめちゃになり、何を描きたいのか
  わからなくなるようではいけない。
  ストーリーには、常に一本の筋が通っていることが大事である。


  たとえば、クライマックスの「転」をストーリーの冒頭にもってくることがある。
  いきなり面白い場面からスタートするわけだ。
  読者は、「あ!なんだこれは!いったい何が起きたんだ!」と思うだろう。
  そう思わせておいて、次にそれまでのいきさつを描いて、「結」で結ぶのである。

  あるいは、「結」から始まる方法もある。
  まず最初に結論を見せて、その後でそれまでの過程を描いていくわけである。
  ただし、このように起承転結を壊すには、壊す根拠がなくてはいけない。
  つまり、言いたいこと、描きたいことをよりドラマチックに、より効果的に描くという
  根拠である。
  ただ闇雲に起承転結を壊してはいけない。

漫画の基本・起承転結
プロット作り

  プロットというのは全体の骨組みのようなもので、登場するキャラクターを作り、
  時代背景や舞台を設定する。
  あらすじの一歩手前の作業だと思ってもらいたい。
  ここでできるだけ具体的なイメージを膨らませておくと、ネーム作りが楽になる。
  とにかく、頭に思い描いたことはすべて書き出しておくとよい。
  たとえば、いきなりクライマックスのシーンを考えてしまうとか、主人公の得意技や
  小道具など、なんでも良いから思い描いたことはメモしておこう。
  ちなみに、ストーリーの出来不出来は、だいたいがこのプロットの作りにかかっている。
  プロットを組み立てるときには、以下の3点に留意するとよい。

(1)主人公の行動の流れを明確にする
  主人公がどのような行動をとり、それによってどうなったのか、この原因と結果が
  明確でなければいけない。
  たとえば、ボクシングで世界チャンピオンに挑戦するために、主人公がチャンピオン打倒の
  ためにどのような工夫をし、またどのような猛練習をしたのかを明確にすること。
  こうした猛練習と工夫の裏付けがなければ、主人公が世界チャンピオンに勝つという
  結果に、読者は納得できないわけである。
  つまり、明確な原因を設定しておくことで、試合中に主人公が突如超人的な活躍を
  始めても、読者は納得してついてきてくれるのである。

(2)問題を用意する
  目標に向かって動き出した主人公が、何の苦労もなくトントン拍子に目標に到達したのでは
  面白くない。
  漫画の面白さは、出来ないことを可能にするところに面白さがあるのだ。
  したがって、主人公には克服するための障害が必要になってくる。
  主人公が困難に対峙し苦悩し葛藤するところに、漫画としてのドラマが生まれるのである。
  つまり、そのための状況を設定する必要があるわけだ。
  たとえば、主人公と対立するライバルを用意したり、主人公の前進を阻む困難な状況を
  用意したりする。
  しかも、これらの問題は、克服が困難であればあるほど、目標を達成したときの喜びが
  大きい。
  ただし、主人公がいかにしてその難問を乗り越え、解決していくかということが重要。
  解決策がなければどうしようもないのだ。
  主人公が、いきなり超能力を発揮するというのは、あまりにも安直すぎる。
  そこで、主人公には、前もってそうした問題を乗り越えられるられるだけの要素を、
  設定として盛り込んでおく。
  たとえば、素晴らしい運動能力があるとか、親がノーベル賞を受賞しているとか。
  あるいは、どこかで聞いたことがあるような設定だが、先祖が名探偵だったとかである。
  こうした伏線を、ストーリーの中に盛り込んでおいて、大事なところで活用すればよい。
  ただし、その伏線から主人公が困難を乗り越える方法を、読者に簡単に予測されるようでは
  いけない。
  つまり、読者に先を読ませない工夫も必要なのだ。

(3)テーマを効果的に訴える
  読者に最も訴えたいことは何か、これが重要である。
  プロットを組み立てるときの基準は、まさにこの点だ。
  逆に、テーマさえしっかりしていれば、どこのヤマ場をもってきて、どの部分を
  強調すべきかということが、おのずと明確になってくる。
  そして、テーマを紛らすような要素は省略していく。
  たとえば、必要のない登場人物やエピソードなどは、思い切って削除してしまう。
  その方が、テーマを効果的に訴えることができる。

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